あらすじ



全てが懐かしかった。
鼻をくすぐる潮の匂いが。
セミの音。
照りつける日差しに視界が真っ白になる事も。
全てが…。
いつの日か、彼を外へと導いた橋を。
いまは逆に辿って、生まれ育った島へ向かう。
どちらを向いても思い出ばかり。
島は何も変わっていなかった。
匂いも。
音も。
何もかも…。
変わっていないのに、違って見える。
彼は小さく息をついた。違って見える、その理由に気が付いて。

──何よりも変わったのは、俺なんだ。



主人公、行野光一は当たり前の人とはまるで違っていた。

その、人と違うということが、光一に居場所を失わせた。
それで生まれ育った島に帰ることになったのだった。



島の学校、「琴が丘」学園に通いながら、光一の新しい生活がスタートする。
人との出会い。そして交わり。
目には見えない透明な壁の向こう側で。
光一は「居場所」を探していく。
そこは、人と違うという事が罪ではない。
そして、ひとりでは作れない。
──そんな場所。



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